「雪は天から送られた手紙である」との名言を残した
科学者中谷宇吉郎の随筆です。
純粋にタイトルに惹かれて図書館で借りたのですが、
「黒い月の世界」と言われて、みなさまどんな世界を想像されますか?
私は、光る月以外にもうひとつの黒い月があるような
異世界ファンタジーのようなものを思い描いていたのですが、
もののみごとに外れました(笑)。
(科学者の随筆集ですから、当たり前かもしれませんが・・・。)
でも、正解も非常に意外な場所でした。
ハワイ島の活火山、マウナロアのことだそうです。
雪の結晶の研究のため、マウナロアに登った筆者が、
ごつごつと続く黒い溶岩台地を見て
「黒い月の世界のようだ」と思ったのが、随筆のタイトルになりました。
不毛な土地だとか、死の世界だとかいう表現なら分かりますが、
それを「黒い月の世界」とは・・・。
簡潔にして言い得て妙、しかも詩情があふれています。
さすがは、冒頭の名言で知られる方・・・と、感動してしまいました。
ちなみに、同じ本の中に「白い月の世界」という1編もありました。
こちらはグリーンランドのことです。
黒い月と白い月。ハワイとグリーンランド。
すばらしい対句の手法だと思います。